風呂敷に関する知識

素材と取り扱い【絹】
上品な光沢と手触りのよさ、美しい発色で風呂敷の代表的存在の絹は
冠婚葬祭の場においても重宝される素材です。
中でも、ちりめんは縦糸に撚りのない糸、横糸に右撚り・左撚りの糸を
交互に使用し織ったもので、表面におうとつのあるシボが表れ
深みのある色合いと高級感ある風合いを出しています。
シボがあることによってしわになりにくく、一般の絹織物には
出せないしなやかな手触りと、染めつけの良さを作りだします。
包んだときに中のものに程よくフィットし、結びやすく
結び目もきれいにできます。
風呂敷と言えばちりめんとの代名詞で表されるくらいの存在です。
お手入れ方法は、水に濡れると縮む性質があるため水洗いはできませんので
ドライクリーニングをします。
しわになりにくいのでアイロンの必要はあまりありませんが、かける場合は
当て布をして裏から中温で行います。
保管する際は、やわらかいので台紙を入れると乱れることなく保管することができます。
ちりめん素材の風呂敷はその見た目の美しさでも十分楽しめるため
シンプルな物を包むのに向いています。
例えばプレゼントの包装紙代わりにちりめんの風呂敷で包んであげると
上品な印象を受けますし、その包んでいた風呂敷も別の用途で活用できて
環境的にも優しいため、よりプレゼントの印象が良くなるでしょう。
機会があればぜひ、取り入れてみてください。
絹織物の一大産地・丹後で作られる丹後ちりめんとは
丹後ちりめんは、京都北部の丹後地方特有の撚糸技術を用いて織り上げる後染めの絹織物であり、特に京丹後市と与謝郡与謝野町で
全流通量の約6~7割を生産しており、織機がガチャンと織れば万の金が儲かると言われた昭和40年代のガッチャマン景気で全盛期を
迎えた織物です。
丹後ちりめんは、1m当たり3千回の撚りをかけた左右の緯糸を使い分けて織り上げますが、織り上げた後に蚕が作る絹の繊維の周りの
タンパク質セリシンを取り除く事でちりめん特有のシボと呼ばれる凹凸が形成されます。
その為、絹特有の光沢を有するシボが光を乱反射する事から輝く様な深みのある発色と独特の手触りが人気となっている織物ですが、
緯糸に強い撚りをかけている事から縮みやすいデメリットがある絹織物です。
丹後ちりめんは、左右の強撚糸を1本ずつ交互に織り上げる一越ちりめんや左右の強撚糸を2本ずつ交互に織り上げる古代ちりめんが
伝統的な製法による織物ですが、近年では変わり撚糸を使用して縮み難くした変わり無地ちりめんが主流となっているのが現状です。
他には、表裏の綾織りを使い分けて紋様を織り上げる紋綸子ちりめんや金銀の糸を使用する縫取ちりめんなどがあります。
素材は、絹が伝統的に使用されますが、現代ではポリエステルやレーヨンなどの化学繊維を使用する織物もあります。